「食材を冷蔵庫に入れておけば安心」といった声を聞きますが、低温でも生息できるリステリア・モノサイトゲネス等の食中毒菌は存在します。飲食店や食品製造業者は、冷蔵庫の食品衛生について考えることは大切です。
ここでは、福岡のHACCPコンサルタント・行政書士が「冷蔵庫の食品衛生5S」について分かりやすく解説しています。
冷蔵庫の食品衛生5Sについて

腸管出血性大腸菌O157が流行したとき、「冷蔵庫を過信しないこと」「冷蔵庫に物を詰め込み過ぎないこと」の注意喚起がされました。
また、環境菌のリステリア・モノサイトゲネスによる食中毒は、冷蔵庫の食品衛生と関係が深いことが言われています。
冷蔵庫を清潔に保つには「食品衛生5S活動」が大切です。
冷蔵庫の整理・整頓

冷蔵庫の整理
冷蔵庫の整理は、冷蔵庫を広く正しく使用することが目的です。飲食店や食品製造業者は、以下のことをやりがちです。
- 製造・調理工程の半製品をとりあえず保管する
- 廃棄物の回収日まで入れておく
- 要るか要らない分からないものをとりあえず入れておく
- 外に出すと微生物が増えるので低温保管しておく
しかし、食品衛生5Sの視点からは上記は許されません。冷蔵庫に不要なものまで入れておくとその他の保管品まで影響してしまうからです。
冷蔵庫の整理の原則
- 不要と思われる食品・食材は直ぐに捨てる
- 食品・食材の処分決定者を決める
- 冷蔵庫に入れるとき、いつ何を使うかを決めて入れる
冷蔵庫の整頓
冷蔵庫の整頓の目的は、先入れ先出しがやりやすいようにすることです。冷蔵庫の整頓は「どこに何があるかを明確にすること」と「適切な状態で保管すること」です。
冷凍庫の整頓のチェックリスト
- 「原材料」「中間品」「最終製品」は、別の冷蔵庫もしくは同じ冷蔵庫の別のエリアに分けられているか?→「原材料」「中間品」「最終製品」を別の冷蔵庫に入れることがベストだが、難しい場合は相互汚染を防止するためにエリアを決めてそれぞれ保管する。
- 冷却工程に使用する冷蔵庫に「原材料」「最終製品」が置かれていないか?→熱処理後に冷却工程がある場合、「原材料」「最終製品」を同じ冷蔵庫に入れることがあるので、それぞれ保管する。
- 温度計や温度センサーの前に荷が積まれていないか?→庫内の温度計や温度センサーは、庫内温度を測定するために大切であるので、荷を置かないエリアを区分し、誰でも分かるようにする。
- 回転サイクルが速いものが冷蔵庫の奥に置かれていないか?→冷蔵庫を開けておくと外気が入るため、庫内温度が上昇する。回転サイクルが速いものが奥にあれば、開放時間が長くなり、製品や原材料に影響を与えてしまう。
- 判別不可能な廃棄品はないか?→廃棄品であることが分かるようにしておかないと、誤って引き品を使用・出荷してしまう危険性がある。外装に廃棄品というラベルを貼る必要がある。
冷蔵庫の清掃・洗浄・殺菌

冷蔵庫内は定期的に点検して記録します。冷蔵庫内の清掃・洗浄は、在庫が少なくなる時間帯に行うことが効率的です。
使用不能な食品・食材の処分方法を予め決めておきます。点検項目を予め決め、目視でカビが認められる場合は殺菌を行います。
冷蔵庫の清掃・洗浄は、庫内に荷物を取り出して行います。「天井」「壁」「ラック類」「床面」の汚れを取って清掃・洗浄します。
冷蔵庫の食中毒菌等の検査は、微生物検査やATP検査が有用です。飲食店の場合、費用の掛からないATP検査機器で行うとよいでしょう。
福岡のHACCP・食品衛生のご相談
飲食店や食品製造業者の営業許可更新は、保健所の実地調査があります。実地調査をスムーズに合格するためには、HACCPや食品衛生を見直すことが有効です。
プラウト行政書士事務所の行政書士は、HACCPコンサルタントで、営業許可や食品衛生を専門としています。
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