【福岡県版】飲食店の食中毒菌と温度管理|プラウト行政書士事務所

HACCP・食品衛生

飲食店の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」は、食中毒を予防するために温度管理を重視しています。

飲食店は食中毒の原因となる病原菌を理解し、殺菌・減菌方法を理解することが大切です。

ここでは、福岡のHACCPコンサルタント・行政書士が飲食店に関係する食中毒の病原菌について分かりやすく解説します。

飲食店が注意する食中毒を起こす細菌・ウィルス

飲食店が注意する食中毒の原因を理解し、予防について理解を深めます。

サルモネラ

サルモネラ食中毒は、おう吐、腹痛、下痢、発熱が特徴です。

飲食店のサルモネラ食中毒の原因は「卵、肉、魚の加熱不足」や「卵、肉、魚を使った包丁やまな板からの交差汚染・2次汚染」などです。

飲食店のサルモネラ食中毒の予防は「卵、肉、魚の中心温度75℃・1分以上の加熱」や「卵、肉、魚を使った包丁やまな板の洗浄・殺菌」などです。

カンピロバクター

カンピロバクター食中毒は、下痢、発熱、おう吐、腹痛、筋肉痛が特徴です。

飲食店のカンピロバクター食中毒の原因は「生肉や肉(鶏肉)の加熱不足」や「生肉を使った包丁やまな板からの交差汚染・2次汚染」などです。

飲食店のカンピロバクター食中毒の予防は「肉の中心温度75℃・1分以上の加熱」や「生肉を使った包丁やまな板の洗浄・殺菌」などです。

腸管出血性大腸菌(O157、O111)

腸管出血性大腸菌食中毒は、腹痛、下痢、下血などが特徴です。

飲食店の腸管出血性大腸菌食中毒の原因は「肉の加熱不足」や「生野菜」などです。

飲食店の腸管出血性大腸菌食中毒の予防は「肉の中心温度75℃・1分以上の加熱」や「生肉を使った包丁やまな板の洗浄・殺菌」や「生野菜の洗浄・殺菌」などです。

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌食中毒は、吐き気、おう吐、腹痛などが特徴です。

飲食店の黄色ブドウ球菌食中毒の原因は「加熱後に手作業を行う食品(おにぎり、いなりずし、弁当、調理パン)」などです。

飲食店の黄色ブドウ球菌食中毒の予防は「手指に傷がある場合は調理をしないこと」「調理前の手洗い」「髪毛やつばが食品に入らないようにすること」「おにぎりをにぎるときにラップを使うこと」などです。

ノロウィルス

ノロウィルス食中毒は、おう吐、下痢、腹痛などが特徴です。

飲食店のノロウィルス食中毒の原因は「二枚貝(牡蠣)の生食や加熱不足」「感染している人から食品への汚染」などです。

飲食店のノロウィルス食中毒の予防は「体調不良時の二枚貝の生食を控えること」「二枚貝の中心部分の1分間85℃以上の加熱」「トイレ掃除や手洗い」などです。

ノロウィルス食中毒は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」では完全に防止できません。飲食店は一般衛生管理を徹底しましょう。

ウェルシュ菌

ウェルシュ菌食中毒は、腹痛、下痢などが特徴です。

飲食店のウェルシュ菌食中毒の原因は「カレーやシチューなどの煮込み料理の保存方法」などが原因です。耐熱性の芽胞を形成するから、100℃の再加熱をしても食中毒を完全に防止できません。

飲食店のウェルシュ菌食中毒の予防は「常温のまま保存しないで、調理後早く食べること」「小分けして保存し、早く冷ますこと」「再加熱はかき混ぜて中心まで加熱すること」などです。

セレウス菌

セレウス菌食中毒は「おう吐型」と「下痢型」があります。

飲食店のセレウス菌食中毒の原因は「米飯やめん類の作り置き」などです。

飲食店のセレウス菌食中毒の予防は「大量の米飯やめん類の作り置きにしないこと」「米飯やめん類の保存は小分けにして速やかに冷蔵庫や冷凍庫に入れること」「米飯やめん類にラップをすること」などです。

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオ食中毒は、下痢、腹痛などが特徴です。

飲食店の腸炎ビブリオ食中毒の原因は「魚介類の刺し身や寿司」「魚介類を使った包丁やまな板からの交差汚染・2次汚染」などです。

飲食店の腸炎ビブリオ食中毒の予防は「魚介類の流水洗浄」「魚介類の解凍は冷蔵庫の中で行うこと(常温で解凍しないこと)」「魚介類を使った包丁やまな板の洗浄・殺菌」「加熱が必要な魚介類の中心温度75℃・1分以上の加熱」などです。

リステリア・モノサイトゲネス

リステリア・モノサイトゲネス食中毒は、インフルエンザのような症状が特徴です。

海外ではリステリア・モノサイトゲネス食中毒が報告されていますが、日本では食中毒はあまり報告されていません。

リステリア・モノサイトゲネス食中毒の原因は「乳製品、野菜、食肉加工品(生ハム)、魚介類加工品(スモークサーモン)など」です。冷蔵庫に長期保管し、加熱せずに喫食する食品に注意が必要です。

リステリア・モノサイトゲネスは加熱すると死滅しますが、冷蔵庫の低温でも増殖します。

リステリア・モノサイトゲネス食中毒の予防は、冷蔵庫を過信せずに冷凍庫やチルド室の活用が必要です。

アニサキス(寄生虫)

アニサキス食中毒は、腹痛、吐き気、腸膜炎症状が特注です。

飲食店のアニサキス食中毒の原因は、海産魚介類(サバ、サンマ、アジ、イワシなど)の刺身、冷凍処理していないイメサバの喫食です。

飲食店のアニサキス食中毒の予防は、鮮魚を一尾で購入したら冷やして持ち帰って内臓を直ぐに取り除きます。

アニサキスは、冷凍(-20℃・24時間以上)または加熱(60℃・1分、70℃以上)で感染性が失われます。

アニサキスは内臓に寄生し、鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動します。アニサキス幼虫は目視で確認できます。

ヒスタミン

ヒスタミン食中毒は、食物から多量に摂取すると起こります。

ヒスタミン食中毒の原因は、赤身魚(マグロ、ブリ、サンマ、イワシ)やその加工品の喫食です。

ヒスタミン食中毒の対策は、赤身魚を受入れるときに品温(10℃以下)を確認します。受入れ後、速やかに冷却し、ヒスタミン産生菌を増やさないようにします。

冷凍魚介類は冷蔵庫で解凍し、常温解凍をしないようにします。調理加工時は、速やかに内臓を取り除き、魚体を洗浄してヒスタミン産生菌を減らします。

飲食店の温度管理

飲食店の食中毒予防には、温度管理が重要です。「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」で注意が必要な飲食店の温度管理について確認します。

中心温度75℃・1分間以上の加熱

飲食店の加熱工程の温度と時間は「食材の中心温度が75℃・1分以上」であることです。

「食材の中心温度が75℃・1分以上」をみたす食材の色や形状を把握し、衛生管理計画に盛り込みましょう。

急速冷却

加熱後冷却が必要な食材は、危険温度帯(10℃~60℃)に留まる時間を短くすることが大切です。

アメリカのFDAの急速冷却の基準は「2時間以内に21℃以下、4時間以内に5℃以下」です。

大量調理施設衛生管理マニュアルの急速冷却の基準は「30分以内に20℃以下、1時間以内に10℃以下」です。

2時間ルール/4時間ルール

飲食店の調理後から喫食までの時間に「2時間ルール/4時間ルール」があります。

「2時間ルール」とは、細菌増殖の最適温度(20℃~50℃)に2時間以上置いてはいけないことです。

「4時間ルール」とは、細菌増殖の危険区域(4.4℃~60℃)に4時間以上置いてはいけないことです。

飲食店は、調理から喫食までの温度と時間を考慮することが必要です。

冷蔵・冷凍と病原菌

冷蔵庫でも増殖する病原菌があります。例えば、リステリア・モノサイトゲネスです。

冷凍をしても病原菌は死滅しません。生き残った病原菌は、増殖しませんが、保存されます。

冷蔵・冷凍は病原菌の増殖を抑える効果はありますが、殺菌を完全に行えないことを理解しましょう。

HACCPや営業許可について

飲食店の食中毒予には有効な「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が大切です。飲食店の衛生管理計画は、改善しながら運用します。営業許可更新時に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を見直すことは大切です。

HACCPコンサルタントの行政書士は、飲食店HACCPの相談から営業許可更新まで対応できます。

食品営業許可やHACCPのお問い合わせは、以下からお願いします。お急ぎの場合の電話相談(092-516-7297)

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