【福岡版】飲食店のHACCP導入の手続き|プラウト行政書士事務所

HACCP・食品衛生

小規模な飲食店の「HACCPの考えを取り入れた衛生管理」は、手順に沿うことで作れます。しかし、衛生管理計画の作成には注意が必要です。

ここでは、福岡のHACCPコンサルタント・行政書士が「飲食店のHACCP導入の手続き」について分かりやすく解説します。

飲食店の HACCP導入手続きの準備

飲食店が「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を導入するには、準備が必要です。

HACCP導入の準備を怠ると、効果的な衛生管理ができません。HACCPの効果が上がるための準備について考えます。

飲食店の経営者と食品安全チームを作る

HACCPを導入するとき、食品衛生の責任者を中心に行います。飲食店の経営者のコミットメントを受け、食品衛生責任者を中心に食品安全チームを作ります。

食品安全チームは食品衛生に関する権限を持ち、飲食店のHACCPについて責任を持ちます。

食品衛生の資料の準備

HACCPで食品事故を防ぐには、食品事故の原因を把握することが必要です。食品事故の原因は、原材料、環境、人からもたらせるため、事業所の情報をまとめます。

食品事故の原因を把握するために、飲食店のメニューの調理工程を資料にするとよいでしょう。飲食店で今まで発生した食品事故を洗い出し、事業所の食品衛生の弱点を把握します。

食品衛生の資料を準備することで、効果的な「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」ができあがります。

飲食店HACCPのテンプレートの準備

飲食店のHACCPは、衛生管理のテンプレートを基に作成すると早いです。

衛生管理のテンプレートは、食品衛生協会の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画・記録簿」等を活用します。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画」を作る

飲食店の食品安全チームは「一般衛生管理のポイント」と「重要管理のポイント」を事業所の食品衛生の資料をもとに決めます。

「重要管理のポイント」は、HACCPの危害要因分析を行うことで決めます。

飲食店の「重要管理のポイント」は、食中毒の管理が中心です。飲食店の「一般衛生管理のポイント」と「重要管理のポイント」について考えます。

飲食店の「一般衛生管理のポイント」

飲食店の「一般衛生管理のポイント」には「原材料の受入の確認」「冷蔵・冷凍庫の温度確認」「交差汚染・二次汚染の防止」「設備・器具等の洗浄・消毒・殺菌」「トイレの洗浄・消毒」「従業員の健康管理・衛生管理」「衛生的な手洗い」「防虫・防鼠対策」「廃棄物の管理」などがあります。

「一般衛生管理のポイント」について、以下詳しく説明します。

原材料の受入の確認

「原材料の受入の確認」は、原材料由来の食品事故を防ぐためです。

原材料の受入の「確認方法」「問題があったときの対応」を決めます。冷蔵・冷凍品の受入は、室温に置かれる時間をできる限り短くすることが大切です。

冷蔵・冷凍庫の温度確認

「冷蔵・冷凍庫の温度確認」は、冷蔵温度(10℃以下)冷凍温度(-15℃以下)に設定し、確認します。冷蔵・冷凍の設定温度に問題があったときの対応も決めておきます。

交差汚染・二次汚染の防止

「交差汚染・二次汚染の防止」は、保管や調理時の防止方法を決めます。交差汚染や二次汚染が確認されたときの対応も考えます。

食材(肉、魚、野菜)で使用する器具や保管場所を分けます。肉や魚は、ふた付きの容器に入れ区別し、冷蔵庫の最下段に保管します。

設備・器具等の洗浄・殺菌

「設備・器具等の洗浄・殺菌」は、設備・器具等から食品が汚染されることを防ぎます。

器具を使用の都度、まな板や包丁を洗浄・殺菌します。調理場の洗剤や薬剤の保管にも注意を払うことが必要です。

トイレの洗浄・消毒

「トイレの洗浄・消毒」は、ノロウィルスによる食中毒の予防に重要です。HACCPでは、ノロウィルスによる食中毒は防げません。

ノロウィルスによる食中毒の予防には、トイレの便座だけでなく、手すりやドアノブまで洗浄・殺菌することが必要です。

従業員の健康管理・衛生管理

「従業員の健康管理・衛生管理」も、ノロウィルスによる食中毒対策に重要な位置を占めます。従業員の体調、手指の傷、着衣の確認を実施します。

衛生的な手洗い

「衛生的な手洗い」も、ノロウィルス対策に必須です。

トイレ使用後、調理場に入る前、盛り付け前、作業内容の変更時、肉や魚を扱った後、金銭を触った後、清掃後など、手洗いが必要になる時を決め、衛生的な手洗いを実施します。

防虫・防鼠対策

「防虫・防鼠対策」は、事業所で昆虫やネズミが発生しやすい場所を把握し、計画を立てます。日々の清掃に加えて、昆虫やネズミが発生したときの対応を決めます。

廃棄物の管理

「廃棄物の管理」は、廃棄物の適切な管理方法を決めます。廃棄物の管理場所を清掃し、調理場に廃棄物による汚染が及ばないように配慮します。

事業所に必要な一般衛生管理のポイントを決め、衛生管理計画に盛り込みます。一般衛生管理のポイントは「いつ」「どのように」「問題があったときの対応」まで記載します。

飲食店の「重要管理のポイント」

飲食店の「重要管理のポイント」は、HACCPの重要管理点の管理方法に基づきます。微生物やウィルスを科学的に管理する方法を決めます。

飲食店の「重要管理のポイント」は、微生物が増殖する危険温度帯(10℃~60℃)をできる限り短くする管理方法を設定します。

飲食店のメニューを「非加熱のもの」「加熱するもの」「加熱後に冷却するもの」に大きく分けます。

非加熱のもの

「非加熱のもの」は、食材に付く微生物の加熱・殺菌工程がありません。食材の洗浄方法、冷蔵庫の保管状況など、喫食者が食べるまでの管理方法を決めます。

加熱するもの

「加熱するもの」は「加熱して熱いまま提供する食材」と「加熱後高温保管する食材」があります。

加熱・殺菌工程がある食材は、有害な微生物の殺菌可能温度の75℃・1分(食材の中心温度)が担保される加熱温度の時間と決めます。75℃・1分の加熱が担保される食材の見た目を確認することが必要です。

加熱後に冷却するもの

「加熱後に冷却するもの」は「加熱後冷却し再加熱する食材」と「加熱後冷却する食材」があります。加熱後の冷却工程で危険温度帯(10℃~60℃)を短くすることが大切です。

アメリFDAの冷却基準は「2時間以内に21℃以下、4時間以内に5℃以下」大量調理施設衛生管理マニュアルの冷却基準は「30分以内に20℃以下、1時間以内に10℃以下」です。

冷却を速やかに行うには「食材を小分けにする方法」や「大きめの鍋に水を流しながら熱い鍋を冷却し、ふたをして冷蔵する方法」などがあります。

「加熱後冷却し再加熱する食材」は、ウェルシュ菌による食中毒に注意が必要です。ウェルシュ菌は耐熱性の芽胞を形成するため、再加熱でも死滅しません。再加熱が必要な食材は、かき混ぜながら加熱し、気泡、見た目、温度などを確認します。

飲食店のHACCPで注意が必要なその他の項目について

飲食店のHACCPは食中毒細菌に注目していますが、他の危害要因にアレルゲンや異物も存在します。

アレルゲン

飲食店では原材料のアレルゲンの表示は義務化されていませんが、アレルゲン情報の提供はすすめられています。またアレルゲンの交差汚染にも配慮しましょう。

特定アレルゲン8品目の「えび」「かに」「くるみ」「小麦」「そば」「卵」「乳」「落花生」を原材料に使っている場合は、お客様から質問されたときには回答できることが大切です。

硬質異物

原材料に硬質異物が混入すれば、お客様に健康被害が及びます。受入れ時に目視で確認することで対応します。

また調理工程で硬質異物が混入することがあります。包丁の刃こぼれの確認することなどを行い、硬質異物が提供する料理に混入しないようにします。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画」の実施と記録

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画」を作ったら、飲食店の現場で実施し記録を取ります。

飲食店の現場で衛生計画を行っていくと、衛生計画や作業の改善点が見えてきます。衛生計画と作業が一致するように、衛生計画や作業を改善します。

「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」をPDCAのマネジメントと考え、飲食店の衛生管理を改善することが大切です。

HACCPの記録は食品事故が発生した時の証拠書類の意味を持ち、営業許可の更新にも関係します。

HACCPや営業許可について

飲食店のHACCPや営業許可は、HACCPコンサルタント・行政書士がまとめて行います。飲食店の営業許可を申請するときには「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書」の提出が求められるからです。

HACCPや営業許可が必要な福岡の飲食店は、以下からお問合せ下さい。お急ぎの場合の電話相談(092-516-7297)を。

タイトルとURLをコピーしました