一般の飲食店で行う食品衛生管理手法HACCPは難しくはありません。食品衛生管理のポイントを抑えれば、HACCPを無理なく導入できます。飲食店のHACCP導入は高い効果の声があります。
ここでは、福岡のHACCPコンサルタント・行政書士が「一般の飲食店のHACCP導入」について分かりやすく解説します。
飲食店のHACCPについて
一般の飲食店で行うHACCPは、簡単な「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」です。
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」は手間のかかるHACCPを簡単にしたもので、忙しい飲食店でも十分取り入れることができます。
飲食店は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の計画を作り、事業所で取り組み、記録するだけです。
一般の飲食店のHACCPはシンプルですが、営業許可と関係します。飲食店のHACCPと営業許可の関係について確認します。
HACCP制度化・営業許可と飲食店の対応について
飲食店で行うHACCPは、営業許可と関係しています。飲食店が営業許可を申請するとき「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書」を保健所に提出することが必要です。
飲食店の営業許可を取るときだけでなく、許可の更新時に「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画」を行い、記録を取っていることを確認されます。
飲食店が記録を取ることを怠っていても営業停止にはなりませんが、保健所から改善指示を受けます。
飲食店はHACCPをできるだけ早く取り入れ、事業所に浸透させることが大切です。
飲食店にHACCPを浸透されるには「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書」に基づき、教育訓練を反復して行いましょう。
飲食店のHACCP導入の3ステップ
飲食店が取り組むHACCPは、事業所で行う「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」です。衛生管理計画書どおりに取り組み、記録を取るだけです。
HACCP導入は、3ステップでできます。
①衛生管理計画を作る
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画」は、飲食店の一般衛生管理とHACCPの重要管理のポイントをまとめます。
※「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画」を作成するときは「5W1H」に注意しましょう。
一般衛生管理のポイントには「原材料の受入の確認」「冷蔵庫・冷凍庫の温度管理」「交差汚染・二次汚染の予防」「設備・器具の洗浄・殺菌」「トイレの洗浄・殺菌」「従業員の健康管理」「手洗い」があります。
一般衛生管理のポイントごとに管理方法を衛生管理計画に記入します。
重要管理のポイントは、調理中の温度に注目して、危険温度帯(10℃~60℃)を通過する回数を基準にメニューを分けます。
飲食店のメニューは「非加熱のグループ」「加熱のグループ」「加熱・冷却のグループ」に大きく分けます。グループごとに調理方法を確認し、管理方法を決めます。
「非加熱のグループ」
刺身やサラダのような「非加熱のグループ」は、食中毒菌が増殖しないように保管温度に気を付けます。
冷蔵庫で保管し、10℃以上に長時間さらさないことが大切です。
「加熱のグループ」
ハンバーグや唐揚げのような「加熱のグループ」は、食品の中心温度までしっかり加熱殺菌します。
食品の中心温度・時間が75℃・1分以上になるように管理基準を決めます。
「加熱・冷却のグループ」
カレーやシチューのような「加熱・冷却のグループ」は、冷却の温度・時間が大切です。
大量調理施設衛生管理マニュアルの基準は「30 分以内に 20℃以下に1時間以内に10℃以下に冷却する」です。
アメリカの基準では「2時間以内に 21℃以下に 4時間以内に 5℃以下に冷却する」です。
②衛生管理計画を行う
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書」ができあがったら、事業所で計画通りに衛生管理を行います。
衛生管理を事業所に落とし込むには、スタッフに教育訓練を行うことが大切です。衛生管理の教育訓練には、一般衛生管理や重要管理のポイント理由について伝えましょう。
③確認・記録する
「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」は、衛生管理の記録付けが重要です。衛生管理の記録は、衛生管理を適切に行っていた証拠です。食中毒などの問題が起こったときに重要な書類となります。
営業許可更新のとき、保健所の調査ではHACCP記録を確認されます。記録を適切に保管しておきましょう。
飲食店HACCP導入の効果について
令和3年度に行われた厚生労働省の「食品衛生法改正事項実態把握等事業」では、飲食店のHACCP導入では食品安全や品質に高い効果があると示されました。
飲食店がHACCPを導入するメリットはあります。そして、飲食店の営業許可とHACCPは深く結びついています。
飲食店でのHACCP導入方法の注意点
飲食店でHACCPを導入しても、HACCPの効果を感じられないことがあります。HACCPの運用では、本質と限界を理解することが大切です。
HACCPを導入しても食中毒は完全に防げない
HACCPを適切に導入すると、食品事故を少なくすることは可能です。しかし、HACCPの導入では、防ぐことのできない食品事故は存在します。
例えば、ノロウィルスによる食品事故は、HACCPの重要管理点を適切に管理しても食中毒は起こります。ノロウィルスの予防には、従業員の手洗いや健康管理を適切に行うことが重要です。
食品事故はHACCP導入によって減らすことはできますが、完全に防ぐことはできません。
HACCPの導入と認証は違う
HACCPの導入と認証は異なります。HACCPの導入は、食品衛生法の「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行います。
HACCPの認証は、ISO22000、JFS規格など、第三者が事業所のHACCPを証明することです。
小規模な飲食店は、HACCPの認証を必ずしも取る必要はありません。
HACCP運用には教育訓練が大切
飲食店にHACCPが定着するには、教育訓練が大切です。
教育訓練には、飲食店の一般衛生管理にHACCPの重要管理点の管理方法や記録の取り方を加えます。
また、事業所ごとに危害要因が異なるので、危害要因に精通した専門家のアドバイスが必要なことがあります。
福岡のHACCPや営業許可の相談
飲食店のHACCPや営業許可は、HACCPコンサルタント・行政書士が一括で行えば効率的です。飲食店の営業許可は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理計画書」の提出が求められるからです。
福岡のプラウト行政書士事務所の行政書士は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」作成に精通し、費用を抑えた飲食店営業許可申請を代行しています。
HACCPや営業許可が必要な福岡の飲食店は「お問合せフォーム」からお円買いします。お急ぎの場合の電話相談を(092-516-7297)。